| 始めに |
Diablo1のDuelにおいて最大の問題となるラグとズレ。わずか1歩の歩行や1回の魔法詠唱、そしてわずか1マスの位置関係の読み誤りが致命傷となり勝敗を分けるW vs Wにおいて、ラグやズレに関する正しい認識を持たないということは、満足な戦いができずに「訳のわからない瞬殺」による敗退を繰り返すしかないということを意味する。Diablo 1のDuelでは、自分の画面に表示されている情報をもとにして、相手の画面で発生していることを想定しながら戦うことが必要なのだが、この「相手の画面を想像しなければならない」ことの必要性とは、自分の画面と相手の画面がラグとズレによって一致しないため発生するものだ。自分の画面では1マス以上相手と離れているからといって魔法を連発すると、相手の剣戟によるハメ攻撃の大ダメージを受けてしまうこともあるし、自分が相手の左下の位置で密着しているからといって、安易にMarik抜けを2歩以上してしまうと、これまた相手に2ヒット以上のダメージを受けてしまい、抜けきった頃には死んでしまっているということもある(=相手の画面では自分が相手の右上で密着していたため、Marik抜けをしている間に2ヒット以上の剣戟を相手は与えることができたためだ)。Healingによって回復したい場合は、自分の画面で安全な状況を確保するだけでは意味がなく、ラグ・ズレを計算に入れて「相手の画面でも安全な状況」というものを確立させる必要性も生じる。
このようにDiablo1のDuelを複雑なものにするラグとズレだが、それぞれの単語に関する定義は、Duelistの間で一致しているというわけではない。むしろ「ラグ」や「ズレ」に関する定義が混乱しているからこそ、Duelist間のコミュニケーションにおいての誤解が生じていると言っても過言ではないだろう。この2つの単語を説明もなしに文章中において何度も繰り返すことが読者諸氏に混乱をもたらすことは間違いない。したがってまずは「このUltimate Warriorsというサイトにおいての『ラグ』と『ズレ』の定義」というものを明らかにしておかなければならない。
注: この文章中において[α]、[β]などはそれぞれのプレイヤーを指すことにする。
| ラグの定義 |
まず「ラグ」についてだが、これを「自分の画面と相手画面の時間的な差異」と定義することにする。この定義を説明するために、まずは例:01を示す。
01 [α]はA地点にいて、B地点に向かってTLPをしたとする。そしてB地点で[β]を素振りして待ち構えている。この時、[α]の画面では、[α]がB地点に着地した頃に[β]はA地点に向かってTLPを行い、そこで素振りを始める。
もしも[α]の画面の情報が100%正しいならば、[α]がダメージを受けることはあり得ない。なぜなら、[β]がA地点に着地した時点で、[α]はすでにB地点で待ち構えており、[β]が剣戟のダメージを与えることはできないからだ。しかし実際のDuelでは、ここで剣戟1ヒット分のダメージを[β]に与えられることが多い。これは[β]の画面では「これからまさに[α]がB地点に向かってTLPをしようとしているところだったから斬ることができた」からだ。この「[β]の画面で、[β]が剣戟1ヒット分のダメージを与えた」というデータはただちに[α]に送信され、[α]の画面では、[α]に密着することができずに素振りをしているだけの[β]から(不思議な)ダメージを与えられる(=「自分の残像を捉えられた」と一般に呼ばれる状況だ)。これがラグが原因となるダメージ受け方といえるだろう。もちろんラグのおかげで、逆に自分が相手にダメージを与えることができたということももちろん発生する。Diablo1のDuelというものは、「常に相手の残像に向かって攻撃し、自分の残像が相手にダメージを与えられる対戦」といっても過言ではない。この時間的差異、つまり「ラグ」は一般には自分と相手との通信品質の差によってその程度が決定される。この「程度」がどのようなものであり、どのような現象を引き起こすかについては後の項目で詳しく解説する。さらには意図的、一時的にラグを増大させることもできはするが、これはシステムの欠陥を突くようなものであり、Ultimate Warriorsという「人間と人間の読み合い・騙しあい」を重要視するサイトにおいては、詳しく説明してDuelに利用することを促進しない。
| ズレの定義と種類(距離的ズレ、方向的ズレ、行動的ズレ) |
これに対し「ズレ」というものを自分の画面と相手画面の空間的な差異と定義することにする。一口に「空間的な差異」といっても、その種類は大きく分けて3種類ある。まずは例:02を見てみよう。
02 [α]の画面では[β]との距離が1マスであるように表示されている。1マス以上の相手との距離とは、本来は「相手に斬られることはなく、魔法を使うことができる」ということを意味するはずだが、Diablo1のDuelにおいてはこの確信は注意の足らないものとなる。ここで魔法を連発するとダメージを受ける可能性があり、[β]の画面において[β]が[α]に密着している場合は、[α]の魔法を[β]が剣戟で潰すことが可能となる。
これはいわゆる「相手の画面と、自分の画面では、自分と相手の距離が異なるズレ」であり、ここでは距離的ズレと呼ぶことにする。もちろんズレはこれにとどまるものではなく、自分と相手との方向にも及ぶ。例:03を見てみよう。
03 [α]の画面では[β]の左下の位置で密着しているように見えても、[β]の画面では、[α]が[β]の右上に位置しているということも、Diablo1のDuelにおいては常に発生することだ。このような「立ち位置の方向的ズレ」は相手の行動を抑止できるかどうかということにも大きく影響する。たとえば[α]の画面では[α]が[β]の左下で密着して右上方向に剣を振り、相手のShieldを叩いているが、[β]の画面では[α]は[β]の右上に立って右上に向かって剣を振っているように見える場合、[β]の画面では[β]はShieldを叩かれていないため、(剣戟1ヒット分のダメージは受けるが)[β]はTeleportやPhasingで自由に離脱することができるということもある。
この場合、自分と相手との距離は、自分の画面と相手の画面が一致しているが、その方向的位置関係のみがズレている。これを方向的ズレと呼ぶことにする。
さらには、行動的ズレとでも呼ぶべきものもある。[α]の画面では[α]は単純にTLP斬りをしたつもりでも、[β]の画面から見れば[α]はTLPをしたあと、[β]の周囲を歩き回ったように見えるため[β]は連続ヒットを加えることがある。もしこの時、剣戟1ヒット分のダメージしか予測していなかったならば、[α]は瞬殺されるだろう。これは、上に述べた方向的ズレ、距離的ズレに大いに関係するものだ。行動的ズレが発生した例として、例04, 05を挙げる。
04 [α]の画面では[α]は[β]の左下にTLP斬りしても、[β]の画面では[β]の右上にTLPで移動してきたように見えた場合、[α]がTLPの後に何も行動しなければ、[β]の画面では、[α]の画面と同一の状態にしようとDiabloのシステムが働くため、[α]が[β]の右上の場所から左下の密着した場所まで歩いてゆく。
05 [α]の画面では[β]との距離が0マスであるのに、[β]の画面では[α]との距離が1マスであるといった距離的ズレが発生した場合に、[α]が素振りなどの行動をとらなければ、Diabloのシステムが距離的ズレを修正しようと働くため、[β]の画面では[β]に向かって[α]が歩いてゆき、[β]は斬り返しができる。
このように、方向的ズレや距離的ズレを修正しようとするDiabloのシステムが、行動の差異(=「自分の画面ではしてもいないことを、相手の画面では自分がしている」)というものを発生させる。いわゆる「ズレの収束」と呼ばれる現象だ。
このような距離的ズレ・方向的ズレ・行動的ズレをまとめて「ズレ」と呼ぶことにするが、この「ズレ」は自分が意図せずに発生する場合もあれば(=一般的に「ナチュラルなズレ」と呼ばれる)、意図的に発生させることもできる(=一般的に「Shadow Skill」「影技」と呼ばれるもの)。さらには「自分が意図しないズレ」が発生することを抑制する技術も限定的ではあるが存在する。「ナチュラルなズレ」が発生している場合(実はDuelの全局面において発生している可能性があるといえる)、「自分の画面では相手の左下に密着して、相手に向かって剣を振っているように表示されているが、相手の画面では自分は1マス相手から離れて位置しているかもしれないし、それに相手の右上に位置している可能性もある」といった具合に、様々な推測を行いながら次の行動を慎重にとらなければならない。さらには自分がShadowを出してズレを意図的に作り出した場合や、相手もShadowを出してズレを意図的に作り出した場合には、その判断はさらに複雑であることが必要とされる。つまり、自分が出しているShadowはいったいどこにあるのか、そして自分が目にしている相手の姿は本体なのかShadowなのかという判断が必要になる。
そしてこのズレも、ラグと同様に自分と相手との通信品質の差に左右されることがある。詳しくは後述するが、通信品質の差が著しい場合、通常では想定できないようなズレ具合が思わぬ計算違いを発生させることがある。
| 距離的ズレ、方向的ズレの確認方法 |
距離的ズレと方向的ズレが発生しているかどうかは、魔法を1回唱えたり、1歩動くことによって簡単に確認することができる。たとえば、自分の画面では1マス相手と離れているとき、「ズレてるかな?」と不安になったときには、FBなどの魔法を1回詠唱してみるといい。詠唱後に剣戟1 Hit分のダメージがこちらに来れば、相手の画面では密着しているということであり、距離的ズレが発生しているということを意味する。逆に、自分の画面では密着してShieldを叩いているのに、相手はTLPを詠唱し、そのTLPを自分は剣戟で潰したにも関わらず相手が別の場所にワープした時には、相手の画面では1マス以上離れていたということを意味する。
自分と相手は密着しており、自分は相手のShieldを叩いているにも関わらず、相手は別の方向に剣を振っている時に、FWを相手に被せてみるなどの方法によって、方向的ズレを確認することができる。もしこの時に自分に剣戟1ヒット分のダメージが来れば、実は相手は別の方向から密着しておりこちらのShieldを叩いていて、こちらのFWも潰したということを意味する。もしこの時に、自分にダメージが来ず、相手のLifeがジリジリと減っていったならば、ズレてはおらず、単純に相手が別の方向にわざと剣を振っていたということを意味する。
距離的ズレ・方向的ズレは、W vs Wの経験を重ねてゆけば、こういった手段を用いなくとも直感的に「ズレてるな」と悟ることもできるだろう。ズレを計算に入れてPotionを事前に飲むなどの対策もできるようにもなる。多くの場合、「ズレているかどうか」が気になるのは、自分の画面で密着してお互いに素振りをしていたり、自分から1〜4マスの距離で相手が素振りをしている時だろう。いわゆる「膠着した状況」であり、Potionを飲むにしてもHealで回復するにしても時間的な余裕があるはずだ。この時、自分が何かしらのアクションを1つ起こすことによって発生する被ダメージは、必ず剣戟1ヒット分以上のものではない。つまり剣戟Critical Hit1回で発生しうる最大ダメージ以上のLifeがその時残っていれば、1歩抜けることもできるし、TLPによる離脱を試みることもできる。逆にいえば、自分にとって不利なズレが発生している状態で、2歩以上一気に歩いて抜けたり、連続で魔法を唱えたりすることは、致命傷になりかねないということを意味する。
| 行動的ズレへの対策 |
距離的ズレ・方向的ズレを確認し、それに対処する方法は上に述べた通りだが、行動的ズレに対処するためには別の発想が必要となる。距離的ズレ・方向的ズレの場合は、そのズレが自分にとって不利に働いていたものだとしても、剣戟1ヒット分のダメージを覚悟して慎重に行動しさえすればそれが致命傷になることはない。しかし、行動的ズレが自分に不利に発生した場合は、W vs Wにおいてはそれは致命傷(=剣戟2ヒット以上の連続ダメージ)を意味する。つまり自分に不利な行動的ズレ(=ズレの収束)を絶対に発生させないように行動することが必要不可欠になる。具体的に言えば、「魔法を詠唱した後に(相手の画面で)相手の周囲を絶対に歩かないようにする」「安易に素振りを中断することによって(相手の画面で)歩いてしまうことを防止する」などのことを常に念頭に置きながら対戦する必要がある。
ズレの収束に関してはかつてRadert氏がToDへの投稿において「後ズレのキャンセル」という形で詳しく分析しているが、この「ラグ・ズレに関する考察」の文脈に沿うように抽出してみるならば、行動的ズレを発生させないためには、「何もしていない時間がないようにする=常に魔法詠唱か素振りをしていることが必要」ということになる。TLP直後にShift ONによる素振りを連続することによって、自分が相手画面で歩いているように見えるという行動的ズレが発生するのを防ぐ。W vs Wの対戦では、魔法を唱える時、本当に自分の画面でも歩きたい時、Shadowだけを歩かせたい時以外は(相手がSwordを振る方向などによって、相手画面と自分の画面が一致していることを明確に確認できない時以外は)常に素振りをしておいたほうがいいといっても過言ではないだろう。
| 「軽い」「重い」とは何か--その1:データ送信の遅さ |
Diabloでは自分と相手との通信品質の差によって、相手と自分のラグ・ズレの程度が決定されるため、常に同じような感覚で対戦すると計算外の不可解なダメージを受け、PotionやHealingによる回復のミスへとつながり、実力を発揮できない。そのため、ラグ・ズレの程度は、その対戦者との最初の対戦中に慎重に計測しなければならない。そのためにまずは、Duelistの間で頻繁に使われるにもかかわらず、もっとも誤解されている「軽い」「重い」という単語が何を意味するのかを説明する必要があるだろう。
一般的に、「軽い」もしくは「通信環境がよい」と呼ばれている状態は、自分のPCで生成したデータをスムーズかつ迅速に相手に送信しているということを意味する。それに対し、「重い」もしくは「通信環境が悪い」と呼ばれる状態は、自分のPCで生成したデータを均一の間隔で送信できず、さらにその送信にはかなりの遅延が発生していることを意味する。つまりラグ・ズレの程度を左右するのは、データ受信の速度・品質ではなく、データ送信の速度・品質であるということになる。まずは、タイムラグに関することを表にすると次のようになる(表の中での数値は、あくまで理解のための例えであって、正確な数値であるというわけではない)。
通信環境 受信に要する時間 送信に要する時間 軽い(良い) 0.5秒 0.5秒 重い(悪い) 0.5秒 2秒
表を見れば一目瞭然だが、どちらも受信に関してはほぼ平等となるところが重要だ。もしも、「重い」人が送信・受信どちらにおいても2秒かかるならば、まったく問題は発生しない。問題が発生するのは、この送信と受信のスピードの違いだといえるだろう。つまり「重い」人は、相手が生成したデータをすばやく受け取ることができるのに、自分が生成したデータをなかなか相手に伝達しないということになる。逆に言うと、「軽い」人が「重い」人を相手にした場合、自分はすばやく相手にデータを送っているのに、相手はそのデータに対するリアクションをなかなか送り返してくれないということになる。このことは、たとえば戦闘の1シーンを「軽い」人と「重い」人が共有すると、下の例のような事態を生む。
06 軽い[α]が、重い[β]と6マス離れている。お互い素振りをした状態。[α]は[β]に向かってFBを1発打つ。しかし[α]の画面では、[β]はいまだにその場で素振りをしている。そこで[α]は[β]に向かってFBを2発連続して撃つ。2発目のFBを打ち終わった頃、[α]の画面では[β]がTLPを唱え始める。[α]は[β]に置き斬りをしようとして、下方向に向かって素振りをする。しかし[β]がTLPで飛んでくる最中、剣戟2ヒット分のダメージが来て即死する。
07 重い[β]は、軽い[α]と6マス離れている。お互い素振りをした状態。[α]が[β]に向かってFBを1発撃ってきて、そのダメージは即座に[β]に届く。そこで[β]はすぐに[α]に向かってTLP斬りを仕掛ける。[β]が着地して密着した頃、[β]の画面では[α]はFBを撃ち始める。当然[β]はそれを斬る。潰したはずの[α]のFBのダメージが、[β]に瞬時に伝達される。しかし[α]は続けてFBをもう1発撃つ。[β]は何も考えずにそのFBを斬って潰す。2発分のFBのダメージが届く。そして[α]はしばらくのちに倒れる。
例:06と例:07を比較すればわかる通り、重い[β]が自分のTLP斬りのデータを軽い[α]になかなか送信しないため、[α]の画面では、[β]は素振りを続けているように見える。そこで[α]はFBを撃つわけだが、[β]の画面では、[β]はすでに[α]に密着しているため、そのFBを斬ることができる。[β]がFBを斬っている間も、[α]の画面では[β]とは離れているため、FBを[β]に命中させることができる。逆に、[β]は、そのFBを潰しているにもかかわらず、[α]が放つFB2発分のダメージを受けている……といった具合に、まるで[β]は「ジャンケンで後出しをしている」かのようになっている。
この例では、[β]のデータ送信が遅いことによって発生する弊害のみを抽出したものだが、「重い」という状態は、データ送信の極端な遅さ以外にも様々な弊害を引き起こす。たとえば次に述べる「グラフィックデータ省略」だ。
| 「重い」「軽い」とは何か--その2:データのスキップ |
「グラフィックデータ省略」が発生している状況を軽い[α]と重い[β]の視点から見ると例:08、09のようになる。
08 軽い[α]は、重い[β]と6マス離れている。お互い素振りをしている。[α]の画面では、お互い離れて素振りをしているだけなのに突然ダメージが来る。[α]は不思議に思い、とりあえずFBを1発撃ってみると剣戟1ヒット分のダメージが来る。その時突然、[α]の画面では、[β]が魔法詠唱のグラフィックを出さずにいきなり[α]に密着してくる。
09 重い[β]は、軽い[α]と6マス離れている。お互い素振りをしている。[β]は素振りの途中にFBを撃つ。そして素振りを続行する。その後、[β]は[α]にTLP斬りを行い、そのまま[α]のシールドを叩き続ける。その時、[α]がFBを撃とうとするのでそれを剣戟で潰す。
この状況では、いわゆる「詠唱消し」が発生している。[α]には、[β]のFB詠唱のグラフィックが見えなかったため、[α]は相手に何をされたのかわからない。つまり[β]は詠唱グラフィックのデータを[α]に伝達していないのだ。
さて、この「詠唱消し」は長い間テクニックもしくは技だと考えられてきた。なるほどそれは非常に強力な戦法だ。なにしろ自分の魔法詠唱のグラフィックを伝達せずにダメージを与えたり(=詠唱消しFB)、移動したり(=詠唱消しTLPもしくはワープTLP)できるため、詠唱消しを受ける相手はその魔法詠唱を斬ることができないのだから。結果として、詠唱消しを使用する相手には、FBを当ててダメージを与えるか、相手が歩くところを斬ることしかできない。しかも、相手がいつワープして密着してくるのか読めないため、そのFBも連発することはできない。つまり詠唱消しを使用するDuelistには非常に苦戦を強いられることになる。
しかし、この「詠唱消し」は、意図的に出したものであろうとなかろうと、テクニックや技と呼ばれるものではない。重い人独特の現象であり、あくまで動作グラフィックがスキップされるだけのものだと、このサイトでは断言する。その理由を説明するのは簡単だ。以下にその理由を述べる。
・ 考案者が解説する詠唱消しの方法を、通信環境がいい人が行っても詠唱が消えることはまずない。 ・ 詠唱消しを行っているDuelistは、例外なく通信環境が悪い(タイムラグも大きい)。 ・ 詠唱消しを行ってきたDuelistが、プロバイダーやPCの変更もしくは仮想CDの使用によって通信環境が良くなると、詠唱が消えなくなる。 ・ テレホーダイ直後のネット全体が重い時間帯には詠唱消しを連発できるDuelistが、朝などの軽い時間帯では詠唱消しを失敗することが多い。
これらの詠唱消しに関する状況を、軽い[α]と重い[β]の2つの視点から見ると例:10, 11のようになる。
10 軽い[α]が素振り、素振り、FB、素振り、素振りと連続で高速に行う。すると相手にはその順序通りに素振り、素振り、FB、素振り、素振りと見える。今度は詠唱を消そうとして、素振り、その素振りが終わる前に素振りの先行入力、さらにFBの先行入力、FBが出た瞬間にShift ONで左クリック連打(=いわゆる詠唱消しのやりかた)を行うと、相手には素振り、FB、素振り連続に見える。つまりFBの詠唱グラフィックは消えていない。
11 重い[β]が素振り、素振り、FB、素振り、素振りと連続で高速に行う。これはいわゆる詠唱消しの方法ではない(=先行入力によるキャンセルなどは行っていない)にもかかわらず、頻繁にその途中の動作(素振りやFB)が相手には伝達されない。さらに詠唱消しを狙って先行入力+キャンセルを行うと、確実に相手には素振りしか見えないのに、相手はFBによるダメージを受ける。
このように、連続動作の途中のグラフィックが省略されることは、(たとえそれが詠唱消しを狙ったものではなくとも)重くなればなるほど頻発する。この省略が「重い」人に有利に働くのは、省略が発生するのはグラフィックのみで、自分が与えるダメージが相手に伝達されないことはないということだ。そのため、「軽い」側は、自分が受けたダメージが何によって与えられたのかわからないということになる。グラフィックデータ省略に関しても、上のタイムラグ同様に、「重い」方に一方的に有利に働く。
この「詠唱消し」と呼ばれるスキップ現象を戦法として用いることを、Ultimate Warriorsでは推奨しない。理由は以下の通りだ。このサイトの読者には、詠唱消しを意図的に利用しない対戦(=予測、誘導をメインとするDuel)を目指して欲しい。
・ 通信環境が悪いことに依存するものであるため、詠唱消しを利用し続けるためには、通信品質の悪いプロバイダーや旧式のPC、故障しているHDDなどに留まりつづけなければならない。プロバイダーの通信品質がよくなってしまうと、通信品質の悪いプロバイダーを探して乗り換えなければならなくなる。 ・ 斬られるはずの動作を「重い」環境によって無条件に斬られないようにすることはフェアとはいえず、装備・読み合い・技術以外の部分で圧倒的に有利な立場を築くことは真剣勝負の面白さをなくしてしまう(勝ったとしても、それは自分の装備・読み・技術によってではなく通信環境によるものである=対人戦の意味が失われる)。 ・ 詠唱消しという強力な現象を使用さえすれば、予測や誘導が不必要となり、その人の技術の向上がストップする。
また、動作グラフィックの省略はこのような魔法詠唱に関するものだけではなく、例:12のように歩行においても発生する。
12 重い[β]が軽い[α]に向かって2マス離れた状態から歩いて密着し、斬りに行く。この時に「歩く」という行動が[α]に伝達される前に[β]の画面では[α]に密着して素振りという状態になる。これを[α]の画面から見た場合、[β]は全く動かずにその場で素振りを続けているように見える。
これは、[β]の画面において、[β]が歩くという行動にかかる時間よりも、[β]から[α]にその情報が伝達されるために必要な時間が長いためにこのような状況が発生する。この場合も詠唱消しと同様、重くなればなるほどその頻度は高くなる。
さらに「ハーフスキップ」とでも呼ぶべき現象が発生することもある。これは上で述べたような、相手のアクションの一部が完全に消えてしまうものではなく、本来の呪文詠唱のグラフィック通常の時間の半分しか見えないものだ。結果として非常に相手の呪文詠唱を剣戟で潰しにくいということが発生する。
| 「軽い」「重い」とは何か--その3 |
「重い」という状態は、上の2つの「データ送信が遅れる」「グラフィックの省略が行われる」以外にも様々な弊害をもたらす。その弊害を以下に列挙する。
・Shift ONで素振している相手を「動かす」……剣戟1ヒット分のダメージを受ける動きしかしてないのに、2ヒットを与えられることがある。以下に、もっとも頻発しうる状況を、軽い[α]と重い[β]の視点から見た例をあげる。
13 素振りをしている重い[β]に対して、軽い[α]がSwordを振っていない地点に向かって、TLP斬りを行う。この時[α]は「こちらの着地地点を読んで、素振りの方向を変えて置き斬りを喰らうかもしれない」と、剣戟1ヒット分のダメージはあらかじめ予測している。そして着地すると同時に素振りを相手に向かって続ける。すると剣戟2ヒット分のダメージを[β]に与えられて瀕死状態となる。
14 重い[β]は、素振りをしながら軽い[α]を待ち構える。[α]はTLPを詠唱して[β]に密着する。そこに置き斬りをヒットさせる。すると[β]の画面では、[α]が1マス歩く。その[α]を[β]は斬る。その状態で[α]は素振りを始めて膠着状態になる。
ここでは、[α]はTLP斬りの後に素振りを連続して行動的ズレが発生するのを抑制しているにもかかわらず、[β]の画面では[α]が歩いている。これは重いほうが基準となるというこのゲームの特性が極端に発生した状況だ。他にも、密着して膠着した状態から、慎重に1歩抜けてすかさず素振りをしたのに、剣戟2ヒットを与えられるなどの場面もあり得る。この「素振りをしっかりすることによって、相手画面でも歩かないようにしたつもりなのに剣戟ダメージが入る」という状況は、重い人との対戦に特有のものといえる。「重い」人と対戦するときには「1アクションで2ヒット貰う可能性がある」という(ある意味で理不尽な)予測を立てながら慎重に戦う必要がある。
・ダメージを無視する……一番わかりやすいのが、「重い」Sword-RとWで対戦したときだろう。対戦の終盤にSword-RのMSが剥げて張り直す様子もない(つまりPotionもない)時、Sword-Rに向かって離れてFBを連発してヒットしてもSword-Rがまったく倒れる様子がないということがある。この時、「重い」Sword-RのPCは、こちらが送信するダメージデータを無視している。このようなことは当然W vs Wの対戦でも発生しており、「重い」相手が歩いているところに向かって何度も切り返しを入れているにもかかわらず、相手のLifeは減らず、倒れることもないということがある。つまり「重い」相手に対しては、通常の対戦よりもはるかにたくさんのヒットを入れる必要があるし、最高レベルの耐久力(=膨大なManaと丁寧なHealingの詠唱)が必要とされる。
・攻撃をすり抜ける……「重い」相手と対戦すると、相手がLow ACであるにもかかわらず相手の魔法詠唱を剣戟で潰せないことや、距離・角度・Magic全てが十分であるのにFBがヒットしないことが頻発する。この状況に関する明確な理由は不明だが、おそらく「軽い」側のPCで、「重い」相手を認識できないのではないかと思われる。剣戟による攻撃がヒットしないことは、Lagが大きくなればなるほど頻発するようになる。たとえば、「軽い」人を相手にするときには、その呪文詠唱のグラフィックが終わる寸前でも斬ることができるが、「重い」相手では、これから呪文詠唱のグラフィックが始まるところを斬ろうとしても、相手の呪文詠唱を潰すことができずにFBを撃たれてダメージが来たり、TLPで逃げられることがある。
・ダメージが圧縮する……「重い」相手が2ヒット以上の攻撃を連続して与えた場合、そのダメージは下の2つの例のように圧縮して一度に届くことが頻発する。
15 軽い[α]が、重い[β]と離れて対峙している。お互い素振りをしている状態。まず[β]がFBを2発連続して打つが、こちらにダメージは来ない。その[β]のFBは当たらなかったのだろうと思って[α]がFBを打ち返すと、[α]の画面では[β]がTLP斬りをしてくる。[α]はそのTLP斬りに対して置き斬りを狙うが、Life Maxの状態が一気にゼロになって即死する。
16 重い[β]が、軽い[α]と離れて対峙している。お互い素振りをしている状態。[β]は[α]に向かってFBを2発撃ちヒットする。そして[α]が動くだろうと予想して[α]に向かってTLP斬りをする。予想通り、[β]が密着した頃に、[β]の画面では[α]はFBを撃つ。そのFBを[β]が斬ると、[α]は倒れる。
このとき、ダメージが圧縮するだけではなく、上に述べたような「グラフィックデータの省略」も併発すると、[α]の画面では、素振りをしている[β]がワープでいきなり密着してきて、一気にすべてのLifeがなくなって即死する(=FBとTLPの詠唱グラフィックが見えない)という対処が困難な事態を招く。
・ホーミングTLPが容易にできる……ホーミングTLPは本来は非常にタイミングが難しい技だが、自分が「重い」場合は容易に成功する。特にBow-Rと対戦する場合はその傾向が顕著であり、相手をクリックしてTLPをするだけで相手のTLP先についていけることや、相手はまだTLPで逃げていないことが多い。W vs Bow-Rでお互いに「軽い」場合には、相手をクリックしてTLPをしても、そのTLPはBowで潰されることがほとんどであるし、仮にそのTLPが成功したとしても、相手はすでに別の場所にいることが多い。
| コラム:重くなる原因 |
上のような状況を作り出す「重い環境」は、次のような要因で発生する。
・通信品質の悪いプロバイダーを使用している……大手プロバイダーにぶら下がっている、地方限定の帯域の細いプロバイダーを使用することは、Diablo1のみならず、様々なネットゲームを快適に楽しむためには御法度といえるだろう。プロバイダーが悪い場合、ISDNでもADSLでも効果はない。通信品質に定評のあるプロバイダーに乗り換える必要がある。また、CATVはWeb閲覧などでは高速だが、その地方のプロバイダーに細い回線でぶら下がっている(=2次プロバイダーになっている)ことが多いため、重い原因となる可能性がある。CATVに乗り換える場合は、上流のプロバイダーがどこなのか、そしてその上流のプロバイダーとは太い回線で繋がっているかどうかを確認しておかなければならない。
・ISDN未満である……Diablo1に同梱されている説明書には14.4k bps以上と書いてあるが、快適なDuelのためにはこれではパワー不足といえるだろう。33.6k bpsのモデムでもまだ足りない印象を受ける(筆者の経験から)。56k bpsのモデムは、上りは33.6k bpsであるため、状況は33.3k bpsモデムと同じとなる。さらに、アナログモデムは通信が不安定であるため、ゲームからドロップアウトすることが多い(これも筆者は経験した)。快適にDuelを楽しむためには、ISDN以上の通信スピードがある環境は必須となる。また、フレッツADSL 1.5Mと、フレッツADSL 8Mでは通信方式が異なっており(1.5Mはg.lite,AnnexCと呼ばれるもので、8Mはg.dmt,AnnexCと呼ばれるもの)、安定性という面では1.5Mのほうが優れている(8Mでは、頻繁に通信リンクが切れることもあり得る)。ネットゲームには1.5Mコースのほうが向いているといえる。
・CD-ROMでDiabloをプレイしている……CD-ROMでDiabloをプレイすると、グラフィックが変わるような装備の変更を行ったり、新たな魔法を詠唱すると、CD-ROMの読み込みが始まる(そのグラフィックデータがある場所までCD-ROMドライブのヘッドが動く)。その間、相手画面の動きがスムーズではなくなり(=「ガクッ、ガクッ」と動く感じ)、その間のグラフィックデータが省略されることが多い。また、自分の影も長く残る。特に、最近の高速ドライブは熱暴走するらしく、対戦時間が長くなるほど上のような症状が頻発するようになる。
・トラブルを抱えているHDDに仮想CD-ROMを収納している……仮想CD-ROM化によってラグを少なくしようとしても、その格納したHDDがトラブルを抱えていると、逆にラグは大きくなる(筆者は体験済み)。ゲームへのJOINに以上に時間がかかる場合は、HDDのトラブルを疑うのが良い。他のソフトを動かした場合にも、データの読み込みが異常に遅いという症状が出るので比較的発見しやすい原因といえる。完全にクラッシュしてデータが消えてしまう前に、HDDをまるごと交換しておく必要がある。
・OS内部に問題が生じている……長期間使い続けたPCで、OSの入れ直しをしていないものは、重くなる原因となる。他のソフトでも不具合が生じている可能性がある。こういう場合は、OSをインストールし直す必要がある。
・Diabloのプレイ中に負荷の高いソフトを同時に動かしている……十分にハイスペックなPCならこの問題は発生しないだろうが、スペックが低いPCでは、プレイ中には他のソフトを動かさずに、常駐ソフトも可能な限り外すことが必要となる。
・battle.netサーバーが不調である……この場合、プレイヤー全体が重くなる。普段「軽い」人は若干重くなり、普段「重い」人は、許容範囲を超えるほどの重さとなる。
逆に、重くなる原因となりそうなのに、ならないものもある。
・56kモデム、ADSL、CATVの上り・下りの速度差は影響しない……重くなる原因として「上りと下りの速度・品質の差」ということを上で例に挙げたが、これらはもとより上りと下りの速度差がある通信形式だ(たとえばADSLの場合、下りは1.5M bpsで、上りは500k bpsとなる)。しかし、上り下りともにISDN以上の速度があるので、この速度差が重くなる原因とはならない。実際には、ISDNからADSLへプロバイダーはそのままで変更しても、対戦における体感度は自分、相手共に全くといっていいほど変化しない。
・PCスペックの差が出ることはない……LAN接続でプレイした場合、スペックの高いPCの画面では砂時計が連発する(=遅いPCがデータを生成するのを待っている)が、Battle.Netでのプレイではその差は発生しない。Memoryは64M以上(Windows 98, MEでは128M以上、2000, XPでは256M以上あることが望ましい)、CPUは200MHz程度あればいいので、現在のハイスペックなPCでは問題は発生しない。
・ハイスペックのビデオボードは必要とされない……Diablo 1はD2、EQ、DAoCなどのGlideやDirect 3Dを駆使したゲームとは違い、高性能・高価格のビデオボードは必要とされない。たとえばマザーボードにオンボードで搭載されている低性能のビデオチップでもゲームに支障をきたすことはない。
以上のような条件をクリアすることによって、「軽い環境」すなわち快適なDuelができる環境を構築することができる。
| ラグ・ズレの程度による対戦の変化(お互いに「軽い」場合) |
お互いに通信環境が整っている場合(=上に挙げたような条件を満たした場合)、ラグの程度の推測は非常にたやすい。自分がダメージを受けるべきアクションを起こし、相手がそれに対して攻撃した場合、自分が軽いほどそのダメージは自分がアクションを起こした瞬間と同時になるし、相手が軽ければ、自分の画面で相手の攻撃行動も遅れることなく自分の画面上で見ることができる。感覚的には「限りなく自分のアクションと同時、もしくはアクションの直後にダメージが来る」といったものとなる。
17 軽い[α]が(1)TLP、(2)1回の素振り、(3)FB1発、(4)TLP斬りの順番で連続動作を行う。その相手である軽い[β]は(1)のTLPを潰すためにTLP斬り、(3)のFBを潰すためにTLP斬り、(4)のTLP斬りを潰すためにTLP斬りを行ったとする。この場合、[α]の画面で(1)のTLPが終わった頃に、[β]の画面で[β]のTLP斬りが成功していれば、着地の頃には1ヒット分のダメージが[α]に届く。逆に言えば、着地しても剣戟1ヒット分のダメージが[α]に来なかったならば、[β]のTLP斬りは失敗したということを逆算できる。そして[α]が最初にいた地点に向かってTLP斬りした[β]に向かってFBを撃ち、[β]にTLP斬りを仕掛けたとき、「さきほどの自分が行ったTLPを[β]が潰したことによって発生するダメージがこれから先に発生することはない。もしこれから自分がダメージを受けるとしたら、自分が撃ったFBを[β]が潰すダメージと、自分のTLP斬りを[β]が剣戟で潰すダメージの、最大でも合計剣戟2ヒット分しか受けないだろう」と予測できる。TLP斬りによって離陸した直後にダメージが来なければ、[β]は[α]のFBを潰すことはできなかったことを意味し、着地する頃には最大でも[α]がまさに今行ったTLP斬りを潰す剣戟1ヒット分のダメージしかこないということを推測できる。
このようにお互いに通信環境が整っている場合、自分の1つ前のアクションに対する相手の攻撃が与えたダメージは、必ずこれから自分が行うアクションが始まるころには伝達されるため、自分の2つ以上前のアクションに対して相手が行った攻撃のダメージをそれ以降は計算にいれなくていいということになる(2つ以上前の自分のアクションに対する相手の攻撃が与えたダメージは、1つ前のアクションを行った時点ですでに伝達されているからだ)。さらには魔法や剣戟の連続ヒットを受けたとしても、そのダメージは段階的に正確に伝達されるため、回復も攻撃も行いやすいものといえるだろう。
また、「『重い』『軽い』とは何か」の3つの項で列記したような現象が発生することはほとんど起こりえないため、相手がどんな行動を行ったのかをはっきり視認できるし(=相手がFBを撃ったならば、そのFBを目視できるし、そのダメージは瞬時に届く。相手のTLP詠唱が消えないから、それを潰すこともできるし、移動しようとしていることも目視できる)、素振りをしている間は相手から斬られることもないし、1歩抜けたなら最大でも1ヒットしか与えられないという風に、自分に与えられるダメージも正確に計算できる。
| ラグ・ズレの程度による対戦の変化(自分が「重く」、相手が「軽い」場合) |
自分が重く相手が軽い場合の対戦は非常に有利なものとなる。自分のアクションは遅延して相手に伝達されるため、相手の行動は無用心なものに見える。たとえばこちらが密着してShieldを叩いているのに魔法の連続詠唱を始めたり(つまり相手にはまだこちらが密着しているというデータが届いておらず、相手の画面では離れているように見えている)、TLP斬りをしたのちに自分の周囲を歩き回って連続で斬られたりする(相手はShift ONで素振りをしているのだが、上に述べた「Shift ONで素振りをしている相手を動かす」という現象のせいで動いて見える)。相手に密着して自分が斬られるアクション(=魔法詠唱、歩き)を行ったとしても、そのダメージはこちらには届かないことが頻発し、Potionを温存できる。相手がFB連打でこちらにダメージを与えようとしているグラフィックが見えたとしても、そのダメージがこちらに届かないことも発生する(相手画面では、Magicは十分なのにFBがこちらにほとんどヒットしていない)。
特に、自分が極端に重く相手が軽い場合には、あらゆる現象が常に自分に有利に働くため、その現象を有効に利用すれば(極端に言えば、相手クリックTLPを繰り返して、密着した後に相手が動いて見えるのを待ち、それを斬りさえすれば)勝利は自ずと転がり込んでくるということになる。さまざまなアクションを行うことによって相手を誘導するという「リスク」を犯す必要もない。相手の行動を予測する必要もない。このような対戦は、「詠唱消し」の問題と同様に、「重い」という現象が読み合い・技を全て無効化してしまうものであり、ある意味で対人戦の楽しみが失われてしまっている(作業的なクリックのみで勝敗が決してしまうため)。
このDiablo 1というゲームには様々な通信環境のプレイヤーが集うため、対戦において、まったく同じ程度の通信環境が実現することはもちろんあり得ない。そのため、完全な平等な条件というものも存在し得ない(全く同じ構成のPCをLANで接続する以外には)。しかし、たとえば日本で随一の通信品質を誇るプロバイダーにFTTH(=光ファイバーによる接続)を用いてプレイしている[α]と、通信品質がよい部類に属するプロバイダーにISDNで接続する[β]とが対戦したとしても、[α]が[β]を重く感じるということはない(もともと、大量のデータを送受信するゲームではないのだから)。つまり「ある一定以上の通信品質を満たしていれば、それより上は差が出ない」ということになる。逆に言うと、その「一定の基準」を下回ってしまえば、それより下の品質に対して「軽い」わけでもないということになる。その「一定の基準」を現時点で満たすのは、日本のどこに住んでいようとも難しいことではない。上に挙げたPCの条件を満たしつつ、全国にアクセスポイントがある通信品質に定評のある大手のプロバイダーを使用しさえすればいいのだ。
エキサイティングなDuelをするためにも、上達するためにも(実際のところ、通信品質が悪いことは上達を確実に阻害するのだ)、自分のプレイ環境の改善に努めることをお勧めする。
| 「重い」相手と対戦するときの注意点 |
自分が軽く相手が重い場合には、非常に慎重な行動が必要とされる。相手の行動が遅れる、相手のアクションのグラフィックがスキップされるといったことが頻発するからだ。さらには自分の画面で表示されている相手の状態と、相手画面で表示されている相手状態は大きく離れていることもある。そのため、こちらは魔法を詠唱するのは1回ずつ、歩くのも1歩ずつにする必要がある。軽い相手と対戦する場合と違って、ダイナミックな仕掛け、アクションは使えない。じりじりと相手のPotionを減らしていくような消極的な戦いにならざるを得ない。間違っても真正面から空中戦などやってはいけない。相手は確実に先手を取っているのだから。
| コラム:Diabloの通信方式 |
ネットゲームには大きく分けて「サーバー型」(UO, EQ, D2のClosedなど)と「ホスト-クライアント型」(シャドウフレアなど)という2種類の通信方式がある。
「サーバー型」ゲームでは、すべてのデータはゲーム会社が用意したサーバーを経由して送受信される。この場合ゲームを快適にプレイできるかどうかは、(PCスペックが十分に整っている状態では)そのサーバーと自分のPCの間の通信速度(Ping)が唯一の決定要因となる。たとえばUOの場合、サーバーまでの通信速度が速い者と通信速度が遅い者が同じ地点から同時に同じ方向に向かって歩いた場合、通信速度が速い者が先行し、遅い者は置いていかれるなどの現象が発生する。これはいわゆる「通信速度が速い者のほうが有利」という状態であり、初期のUOプレイヤーはこぞって品質のいいプロバイダー(IIJ、DTI、AT&Tなど)に乗り換えたという現象さえ発生した。
これに対し「ホスト-クライアント型」ゲームでは、ゲーム会社が用意したサーバーに代わって、ホストとなるプレイヤーが、クライアントが送信するすべての情報を受信しつつそれぞれのプレイヤーにデータを配信し、それぞれのクライアントプレイヤーは、ホストプレイヤーとのみ通信するという構造を持っている。この場合、ゲームが快適にできるかどうかを左右する要因は、ホストとなるプレイヤーの通信速度、帯域の広さ、PCスペックであり、ホストの通信環境が優良でない場合には、それぞれのクライアントプレイヤーは快適なプレイができない。たとえばシャドウフレア(最大で4人同時プレイができる)の場合は、ホストとなるプレイヤーがたとえ通信品質に定評のあるプロバイダーを使用していたとしても、ISDN程度では帯域が不足し、クライアントプレイヤーは「画面がカクカクでゲームにならない」と不満を漏らすことになる。また、この「ホスト-クライアント型」のゲームでは、ホストがゲームを終了すると同時に、クライアント側のゲームも強制的に終了する。
Diablo1は、一般的には「ホスト-クライアント型」と呼ばれているが、厳密には「サーバー型」にも「ホスト-クライアント型」でもない。以下にその通信形式の特徴を並べてみよう。
・ゲームをクリエイトしたものが一応のホストとなるが、クリエイトしたプレイヤーがゲームを離脱してもゲームは続行される。その時には最初にJOINしてきたものがホストとなる。そのプレイヤーがゲームから離脱した場合は、またその次のプレイヤーがホストとなる。
・ホスト[α]が全てのデータを集約しているわけではない。クライアント[β]は、クライアント[γ]に関するデータは、ホスト[α]を経由せずに直接クライアント[γ]から受け取る。また、自分が生成するデータはホスト[α]だけにではなく、全員に対して発信される。つまり4人のプレイヤーが網の目状に直接データを送受信している。
・サーバー(= battle.net)との連絡を絶えず行っているが、サーバー経由でゲーム内の全てのデータを送受信しているわけではない。サーバーとはゲーム名、パスワード、難易度、ゲーム内の人数など、ゲーム内容以外のデータを送受信している(だからConnection Lostの表示がゲーム内のプレイヤーに出た場合、人数に余裕があっても、チャンネルにいるプレイヤーがJOINできなくなることがある)。
・ゲームの「基準」は通信環境が劣っている者となる。Diablo1は1996年に発売されたネットゲームであるため、必要とされる回線速度やPCスペックは低い。送受信されるデータ量も多くはない。当時発売されていたPCや、当時の通信事情でも十分にプレイすることを可能とするために、他のネットゲームとは若干異なるシステムを採用している。UOでは通信品質が良好な者とそうでないものの差は(たとえば上で説明した通り、同じ方向に歩いてゆくとその距離が開いていくというように)解消されないが、Diablo1では、「砂時計」や「ワープ」によってその差異が一定以上のものにならないように工夫されている。たとえば、同じ地点から同じ方向に歩いた場合、通信環境が整っている相手から、通信環境が整っていない相手を見ると、相手が後ろの方を歩いている途中でワープを行い、いきなり自分の近くにいるということになる。
更新履歴:
ver. 1.02 (2002/04/20) 表現の若干の変更 ver. 1.01 (2002/04/14) 誤字脱字の修正など ver. 1.00 (2002/04/13) 公開版 ver. 0.11 (2002/04/06) 「お互いに軽い場合」の項の大幅加筆、「自分が重くて相手が軽い場合」の追加
「グラフィックのスキップ」「魔法の連続詠唱によるズレの抑制」といった表現に修正
重い相手と戦う場合の注意点」の追加
ver. 0.10 (2002/04/03) 暫定版
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