まずは「読みあい・騙しあい」を重視するDuelが完成するまでのW vs Wの技術・スタイルの変遷を振り返る。
| 黎明期 |
Duelという楽しみ方が発生すると同時に、W vs Wの対戦も始まったのだが、もっとも初期のW vs Wにおける最重要事項は間違いなくTo Hitだった。お互いが潜り装備(=Awesome Plate of...などのHigh AC装備)をそのまま流用しているため、KSOHを使用することは不可能だった。この頃にはまだDuel装備を充実させているプレイヤーは少なく、SSOHやGold Amulet/Ringを持っているか持っていないかということが勝敗を分けており、「装備によるDuel」と呼ぶべきものだった。Marik抜けなども開発されておらず、密着状態を解消する技術も存在しなかった。 一度密着すればShieldが壊れるまで叩き合うことはこの頃の常識であり、同時にSwordやShieldをIndestructibleにしておくことも常識だったといえる。
やがて、このようなDuelにも限界が訪れる。それはお互いにTo Hitを上げ、Shieldを叩き合って1歩も動かない状態ではダメージを与えることができない。その打開策として登場したのが 削り装備だ。その頃にはムカデ理論が発見されたため、ACを上げなくともDexさえ満たせば相手の剣戟を回避できることを利用し、Ruby Helm WhaleやDiamond Armor Whaleを装備してLifeを大幅に増加させることも考案された。そのようなACの低い相手に対してはLSOHで攻撃することによってわずかずつではあるがダメージを与え、従来通りにACの高い相手にはSSOH + Gold Amu/Ring + Sparking Mailによってダメージを与えつつ、相手が動くようにプレッシャーをかけるといった戦術が一般化した。「High AC」「LSOH」「Sparking Mail」という3つの柱によってこの頃のW vs WのDuelは成立しており、非常に動きの少ない、時間のかかる静的なDuelだったといえる。
| 発展期 |
このような静的なDuelを大きく変化させたのは、Marik氏によって発見されたMarik抜けという技だった。これまでの「動いたほうが負け」というW vs Wの常識が、このMarik抜けによって崩壊する。それまでは歩行による移動は大ダメージを受ける(=ハマるため連続ヒットを与えられる)ことを意味していたが、Marik抜けは、剣戟1ヒットのダメージで、密着状態を解消することを可能とした。テレポートによる移動やテレポ斬りがDuel中にも可能となり、W vs Wの様相は一気に変化した。同時に、切り返しなどの基本の技やFire Wallの利用も考案され、密着状態のみがW vs Wの対戦ではなくなった。
この頃には、膨大な数の技が開発された。上に挙げたMarik抜けを筆頭として、W vs Wに関係する技ではFune式TLP斬り、Radert式TLP斬り、ホーミングTLP、切り返し、切り崩し、与作斬り、魔法キャンセル、アンチHaste、バキュームプレス、ツバメ返し、Diablo三角法など枚挙に暇がない。これらの技をさらに応用して、Radert2択、Marik3択、強制移動法、強制選択理論などの戦術も生まれた。
これらの技は様々なDuelistによって開発されたのだが、彼らはこぞってtakah氏が運営していたJPN-TDP Official Support Page(以下TDPと略。現在はTop of Duelistsに名前を変更している)にその開発した技を投稿し、披露していった。実は、Diablo1において最大の読者層を獲得していたTamon's Diablo Page(残念なことに現在は閉鎖されている)のフォーラムではDuelに関する議論や意見交換も活発だったが、そのDuelに関するフォーラムを独立させてサイトとして立ち上げたのがtakah氏なのだ。takah氏はDuelに関する情報公開を重視し(Duelのテクニックを一般公開することはすなわち自分の優位性を捨てるということを意味しているのにだ)、その主義には多くの賛同者が集まり、またこれからDuelを始めようとするプレイヤーにとってはTDPはDuelの入門書として歓迎されて発展していった。結果としてTDPは日本でのDuelの総本山的存在となり、Duelistの技術向上に大いに寄与した。この時期のDuelの様相については、takah氏の回想録(その1、その2)で詳しく述べられている。
当時のTDPにおいて、最も多くの新テクニックを投稿し、またBBSでのDuelに関する議論にも意欲的だったのはおそらくRadert氏だったろう。彼の名前を冠するRadert式TLP斬りを始めとして、現在ではWのDuelistならば誰もが習得しているテクニックの多くは、彼が考案したものだった。そのテクニックのみならず、彼のDuelに対する姿勢もまたWのDuelistに大きな影響を及ぼした。特に、Duel界のカリスマの一人となっていた当時の彼が考案したSonic Attack(これについては詳しく後述する)は、W vs Wに革命を起こしたといえよう。
| Shadowの発見 |
自分の画面と相手の画面とでは表示が異なることは、これまでに多くのDuelistを悩ませてきた。この「ズレ」や「ラグ」の解明はDuelistにとって最も大きな関心事だったろう。ズレやラグの原理に関する研究は遅々として進まず、自然発生するズレによって勝敗が決しても、お互い訳がわからないといった状況がしばらく続いた。
やがて、自然に発生するズレを利用する技が誕生する。それが空間切りだった。これは相手がMarik以外の方向に歩行移動しているところに向かってShift ONでTLP斬りを仕掛け、相手の画面ではこちらは素振りをしているように見えつつ自分の画面ではハメている(=自然に発生するズレを利用する)という技だが、この技が開発された当時はなぜそうなるのかは理解されておらず、この現象を利用するだけにとどまっていた。同様にキャンセルTLPを行うと、自分の画面では1回しかTLPが詠唱されていないにも関わらず、相手には2回TLPが詠唱されているように見えることがあるので、そのズレを利用して攻撃するということも行われていた(もちろん、なぜキャンセルTLPをするとズレるのかということは解明されていなかった)。
しかし研究熱心な当時のDuelist達は、「理屈はわからないけどとりあえず使える」といった状態には満足せず、多くの実験を重ねていって、ラグ・ズレの原理を解明しようとした。たとえばRadert氏は、TDPの「師匠と弟子の部屋」への『ズレと敗戦パターン』という投稿において、「先ズレ」(TLP前に、既に相手との画面の違いが生じていること)、「後ズレ」(TLP後に相手には自分が歩いて見えること)という表現を用いてズレの仕組みを説明した。そして自分が意図しない行動的ズレを抑止する方法も提案された。同様にTDPの「師匠と弟子の部屋」へのArtemis氏の投稿では、LANにおけるズレの様子から、BNでのズレ方を推測するという考察も行われていた。
さらには、いわゆる影技、Shadow Skillと呼ばれる技術が開発・公開された。このShadow Skillによって、受動的に「自然に発生するズレを利用する」という状態から、能動的に「ズレを作る」という状態へと変化したのだ。この技術によってW vs Wは一気に多様性を増していった。
このShadow Skillは、W vs Wにおいては特に密着した斬り合いの状態を変化させた。これまでのW vs Wにおいては、密着状態とはすなわち本体同士の密着のことであり、その膠着状態を解消するためには削り・High ACなどの旧来のものか、Marik抜けからの戦術のどちらかを選択する必要があったが、Shadow Skillの開発・流布以降は、「自分の画面では密着して、相手の画面では離れている」という状態を作ることが可能となり、Shadowを出した後は相手が動くのを待つだけでよかった。この頃はShadow Skillを使用できるDuelistと、Shadow Skillを知らないDuelistの間では歴然とした戦闘力の差が生じていた。
同時に、W vs Wのこれまでの技(意図的にズラすことをしない技、特にMarik抜けからの攻め)が一時的に人気を失った。Marik抜けする場合も、Shadowのみを歩かせて本体は密着したままにしておくことが一般化したし、Shadow Skillを会得している者同士の対戦では、お互いにShadowを出して相手が動くのをひたすら待つことも多くなった。つまり発展期のW vs Wよりも動きが少なく、リズムも遅い静的なDuelへと戻った時期ともいえる。
Shadow Skillが全盛であり、Shadowの使い方こそが勝敗を決していたともいえるこの時期においても、ラグやズレは完全に解明されたわけではない。これまでの考察においては、通信環境の違いが考慮されていなかったからだ。つまり「自分の環境ではこう見える」ということを絶対視し、それが普遍的なものであると思い込む節があった。実際に当時は、「自分のPC・通信環境だから出来ること」でしかないことが技として公開されることも多かった(筆者も当時は「残像剣」という名前の「ズラし技」を開発して公開したが、これもまた通信環境や状況に依存するものであったに過ぎない)。このような「ラグ・ズレに関する思い込み」とでも言うべきものは、後述する詠唱消しの流行まで続くことになる。
| Sonic Attack革命 |
この状態にまるで雷鳴のようにもたらされたのが、Radert氏考案によるSonic Attackだった(この戦術もTDPの「師匠と弟子の部屋」に投稿されたものだった)。このSonic Attackとは「GO!」の合図と同時に素振りを入れつつTLPや FBキャンセルTLPを連続で相手をすばやく探し、相手が視界に入った後は、相手の行動を下のようにうまく利用する(強制選択理論と呼ばれていた)ものだ。
・ 相手がこちらのTLP斬りを予想して置き斬りを狙っていた場合……FBを1発入れ、2発目をキャンセルTLPして別の場所に移動。FBを斬ろうとTLPしてきた相手に対してFBを1発。さらにキャンセルTLPで別の場所へ。 ・ FBを避けるために振り子を始めた場合……空間切り、もしくはRadert2択(=FWを敷いて相手が動いたところをキャンセルTLPで斬る。動かない場合はさらにFWを重ねるという強制選択を強いる戦術)。 ・ 相手がFBを撃ち返してきた場合……Radert2択によって相手のFBをキャンセルTLPで潰しに行く。
2ラウンド以降は、こちらの単なるFBキャンセルTLPに振り子やFBの打ち返しなどの反応をするようになるので、それを斬ることによって試合開始直後の瞬殺がしやすくなる。いわゆる「動いても死ぬ、動かなくても死ぬ」といった状態に相手を追い込むことが可能となる。
この戦術の第1の革新性は、Shadow Skillによって静的になったDuelをかつてないほどに動的に変えたということだろう。これまでのDuelは密着状態での斬り合いの時間が長く、その状態からの攻防がメインだったのだが、Sonic Attackによって相手に密着した瞬間に勝負を決することができるようになった。つまり、これまではあまり注目されていなかった「密着までの駆け引き」の重要性を発見したのだ。
第2の革新性は、FBをW vs Wの対戦で使用するということにある。これまでのW vs Wでは、ダメージを与えるための魔法はほとんどFWのみだった。しかしFWは自分の画面と相手の画面では出る位置がズレるため、自分の画面ではFWの中に相手を誘導できたとしても、相手画面で相手がFWの中にいない場合はダメージを与えることができない(=相手を動かすことができない)。また、FWが与えるダメージはFBに比べると微々たるものなので、決定打とはなり得なかった。相手画面でヒットするかどうかが関係しないFBを使用することによって、攻撃の幅が広がったことは間違いない。
そして第3の革新性は、MagicをW vs Wの重要項目の1つに加えたということだろう。下の表を見ればわかる通り、Sonic Attack以前の代表的な装備ではMagicの値は全く考慮されていない。黎明期からShadow Skill時代までの装備の変化は、常にLifeを上昇させることによって耐久力をUPさせるものであったが、Sonic Attack以後は、敢えてLifeを下げてMagicの値を上昇させることになった。特にSonic Attackを提唱した時点のRadert氏の装備は、このサイトの装備の考察でも示されている通り、Life 528, Magic 131というこれまでのW vs Wの常識を打ち破るLifeの低さとMagicの高さだったのだ。
それぞれの時代の代表的装備 黎明期 発展期(TDP推奨装備) Shadow Skill時代 Sonic Attack以後 ・Strange Sword of Haste
・Godly Helm of the Whale
・Awesome Plate of the Lion
・Emerald Shield of Tiger
・Obsidian Amulet of Perfection
・Gold Ring of Perfection
・Gold Ring of Perfection・Strange Sword of Haste
・Ruby Helm of the Whale
・Diamond Mail of the Whale
・Emerald Shield of Tiger
・Gold Amulet Perfection
・Gold Ring of Perfection
・Gold Ring of Perfection・King's Sword of Haste
・Ruby Helm of the Whale
・Diamond Mail of the Whale
・Emerald Shield of Tiger
・Dragon's Amulet of Zodiac
・Dragon's Ring of Zodiac
・Dragon's Ring of Zodiac・King's Sword of Haste
・Ruby Helm of the Whale
・Diamond Mail of the Whale
・Jade Shield of Brilliance
・Dragon's Amulet of Zodiac
・Dragon's Ring of Zodiac
・Dragon's Ring of Zodiac
・黎明期……High AC vs High ACの対戦がメインだった時代。To Hit上昇装備を持っているか持っていないかが勝敗を決することも多かった。AC上昇装備はWhale + LionによってできるだけLifeを上昇させることが好まれた。
・発展期……Marik抜け発見以後の装備。ムカデ理論によってACよりもWhale + WhaleによるLifeの上昇が図られた。まだこの頃は潜り装備のままDuelをするプレイヤーも多かったため、To Hitはできるだけ上昇させておくことが必要だった(Gold/HeavensではなくGold/Perfectionが選択されているのは、ACとTo Hitに関する計算が十分になされていなかったためか、Gold/Heavensを所持しているDuelist自体が希少だったためと思われる)。
・Shadow Skill全盛期……ムカデ理論・Marik抜けがDuelにおいて常識化しているため、Low AC vs Low ACの対戦がメインとなる。結果としてKSOH + Dragon's Zodiac x3を装備することによって剣戟Damage UP、Life UP、Mana UPが図られている。同時にまだMagicは重要視されていないため、Zodiac x3による110程度にとどまる。FBは使用されていたが、あくまで「撃っているところを見せる」ためのものであり(=Shadowを出して、相手が動くのを誘導させるため)、相手に確実にヒットさせる必要はなかった。
・Sonic Attack以後……FBを相手にヒットさせることが必要となり、Magicの数値が始めて考慮されるようになった。これによってMagicが120以下の装備の組み合わせはほとんど見かけられなくなった。同時にSpell LvアップによってFBダメージを増加させることを狙う装備も考案された。
当時はズレ・ラグに関する認識が十分ではなく、保険Potionの使用も常識化していなかったので、FB1発+剣戟クリティカルヒットによって相手を瞬殺することが現在よりは容易だったこともあって(実際、ソニックスタイル同士の対戦では、試合時間は非常に短く、Potionを使い切る前に試合が終了していたことが多かったのだ)、Sonic Attackが与えたインパクトは当時は強烈だった。古豪DuelistであったRalf氏に「ズラしの時代は終わりましたね。これからは機動力の時代ですよ」と言わしめるほどに。
Sonic Attackは瞬く間にWのDuelistに流布していった。それは、Sonic Attackが、発展期以降の多くのDuelistが苦手とした動かない相手(=カメ」と呼ばれていたスタイル)に対して絶大な効力を発揮したからだ。動かない相手に対してはFBの連打で瀕死に追い込み、相手がたまらず動いてしまうところを瞬殺することが可能だった。このSonic Attackに向いた装備を必要としたDuelist達はMagicとLifeのバランスの取り方を試行錯誤し、Wの装備はこの時に多様性を増していった。
| 爛熟期(詠唱消しの流行、Force) |
Shadow Skill, Sonic Attackという革新的技術・戦術が登場することによって、W vs Wの技術的側面は完成の域に達したのだが、新たな技術に対するDuelist達の飽くなき探究心は続く。それらの努力は、「詠唱消し」「Force」という形で結晶化することになり、詠唱消しは一部のDuelistの間で流行テクニックとなる。
詠唱消しについては「ラグ・ズレの考察」において詳しく述べたのでそちらを参照していただきたい。考案者がこの「技」を生み出す時の発想は、「Diabloは先行入力方式なので、このシステムをうまく使えば相手に自分のアクションを見せずにすむ」というものだったはずだ。その発想から生まれた詠唱消しの方法を解説する文章は理路整然としていて、非常に説得力があるものだったように筆者は記憶している。しかし残念なことに、この理論は「重い環境」でのみ実践可能であり、「軽い環境」で行うと理論通りに相手画面が表示されなかった。
この詠唱消しの流行に関しては、2つの偶然が働いたように思える。第1に、考案者の通信環境がたまたま悪かったので、この理論が実践可能であったということ。もし考案者の通信環境がよければ、「理論通りにはいかないんだね」と、すぐに詠唱消しという技術は放棄されていただろう。そして第2に、考案者がこの技術を伝えた友人達もまた、たまたま通信環境が悪かったということ。友人達の通信環境がもしよかったならば、「できないよ、これ」と言われて、詠唱消しが伝播することはなかっただろう。Shadow Skillの項で最後に述べた「ラグ・ズレに関する誤った思い込み」が、2つの偶然によって気付かれることはなく、現在に至るまで詠唱消しはテクニックであると誤解され続けている。
詠唱消しとは逆に、Forceという技はどのような通信環境でも可能であるのに、そのタイミングがあまりにシビアであるために流行することはなかった。Forceは、TLPしてくる相手の着地地点を予想し、その座標まで歩いて割り込むことによって、相手を強制的に移動させることなどを可能とする技だ。「地下への階段を4人で降りて静止している時、自分がどこかに1歩歩くと、他の仲間が歩いて見える現象を利用するもの」といえばわかりやすいかもしれない。つまり相手と自分が同じ座標を共有している状態を解消しようとすると、相手画面では動いていないのにこちらからは動いて見えるという現象を利用して、この座標の共有を意図的に発生させるのだ。
その理論に誤りはなく、どんな通信環境でも可能ではあるが、この技は「相手のラグによって、Forceを仕掛けるタイミングが異なる」という欠点を持っていた。特定の相手に対しても成功率が高いとはいえないのに、相手や時間帯によってタイミングが異なるとすれば、実際の対戦では成功率が非常に低い。しかも、Forceを警戒して相手が着地地点に注意を払い始めると、座標の割り込み自体が不可能となる。さらに、非常に重い相手に対してForceを仕掛けたならば、相手画面ではすでに密着しているのにこちらは歩き始めるわけだから、そこを斬られてしまうだろう。このようなシビアさによって、素晴らしい発想によって生まれたForceは(特に、カメ状態の相手を動かすことができるという強みがあるのだ)、Duelistが用いる技としては封印されてしまった(筆者自身も「知ってはいるけど、使わない」という認識にとどまっている)。
| コラム:L's Duel ClubとJPN-Nif |
この文章にはこれまで登場することがなかったにも関わらず、数々のDuel大会で優勝をさらってきたのはL's Duel ClubとJPN-Nifに所属するDuelist達だった。その「強さ」の理由を列挙してみよう。
第1の理由として、流行に対して慎重な態度を取っていたということが挙げられる。Shadow Skillにしても、Sonic Attackにしても、しっかりとその原理を理解し、普段のDuelにおいては反復して練習することによって体得し、自分のDuelに根付くまでは大会で使用することはなかった。
第2の理由として、過去の技や戦術を放棄しなかったということが挙げられる。多くのDuelistは、Shadow Skillが流行ればShadow SkillばかりのDuelを行い、次にSonic Attackが流行ればShadow Skillなど放棄してソニックスタイルへと変わり、さらに詠唱消しが流行したら……といった具合だったが、L'sとNifのDuelist諸氏は、黎明期の「削り&High AC」や発展期の数々の技、さらには装備交換による攻防を普段のDuelでも常に利用していた。結果として、他のDuelist達よりも戦術の幅があり、それが大会ではいかんなく発揮された。
第3の理由として(おそらくこれが最大の理由だろう)、フェイク・誘導・読みといった、相手の心理を突く戦いを基本としていたことが挙げられる。これはL'sやNifのDuelist諸氏の大会手記を読めばすぐに感じられることだが、その戦い方は非常にオーソドックスなのだ。相手が何をしたいのかを読んで先回りしてみたり、相手の動きのクセを利用してみたり、相手がLSOHで削りたくなる状況を作った後に自分はHigh ACにしてFWを被せたり、相手が得意とするスタイルを装備によって封じたりといった具合だ。技を振り回すだけのDuelistでは太刀打ちできなかったのもうなずける。
| 完成期 (現在) |
過去のDuelを振り返って整理する記述において、現在のDuelの様相を書くことは一種の逸脱行為かもしれない。しかし、現在のDuelの様相、そして未来のDuelの展望についても(資料の一つとして)記述しておく。
・ ラグとズレの仕組みが完全に解明された……自分の通信環境が普遍的ではないこと、「軽い」環境と「重い」環境では画面上の出来事が全く異なることに注目することによって、これまでは曖昧な理解にとどまっていた部分がしっかりと説明された。 ・ 意図的な瞬殺が困難になる……ラグ・ズレに関する研究が進んだことによって、Potionを飲むべきタイミングやHealingが可能な状況を正確に見出すことが可能になった。これによって、自分の通信環境の悪さ、相手のラグ・ズレに関する認識不足や操作ミスが伴わない限り、瞬殺によって勝負を決めることが非常に難しくなりつつある。結果として、どちらかがPotionを使い切ることによって勝負が決することが今後ますます多くなると予想される。 ・ 革新的な装備はもう生まれ得ない……装備の組み合わせ方は、これまでにありとあらゆるパターンが実験された。Sonic Attack登場後のような爆発的なバリエーションの増加は今後は発生し得ない。 ・ 革新的な技術も今後は登場しない……Diabloのシステムはほぼ完全に解明されたため、Shadow Skillのような新たな現象や技術が今後発見されることはない。たとえば、本体もShadowも相手の画面から完全に消してしまうといった技術は不可能であることがすでにわかっている。 ・ 総合力のDuelとなる……新たな装備や技術が今後は生まれ得ないため、これまでのような大きなムーブメントも発生し得ない。結果として、黎明期から現在までのあらゆる技術・戦術・装備が総合的に使用される。かつてのような大技の繰り返しは効力を失ってしまったため、心理的な駆け引き・読みがメインになる。
更新履歴:
ver. 1.00 (2002/04/17) 公開版。 ver. 0.11 (2002/04/16) 完成期を追加。 ver. 0.10 (2002/04/13) 暫定版。
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