| Low AC潜りの意義(前書きにかえて) |
1996年の発売以来、多くのネットゲーマーを魅了し、インターネットゲーム初期の傑作であるDiablo。なぜこのシンプルなゲームが、これほどの人気を博したかということをきちんと説明することは難しいことだが、簡単に述べるなら、Diabloというゲームは、ロールプレイングゲーム、対戦・格闘ゲーム、アクションゲームという3つの側面を持ち、そのどの側面においても非常に完成されていたということだろう。ロールプレイングゲームというものは、敵を倒して経験値を集め、自分の能力値を成長させ、さらには強力なアイテムを集めることによって、無敵のキャラクターを作り上げることを楽しむものだ。Diabloにおいて、「文句ナシの一級品」といえるアイテムが出現する確率は非常に稀であり、3年間毎日やっても出現しないという事態が発生するほどだ。だからこそ、他人が持っていない一級品を装備したいという欲望は加速度的に高まり、多くのプレイヤーが何千回、何万回とNormal/Hellでアイテムを探すことを繰り返してきたわけだ。最終的にはAC 270 Over, Life 525 Over, Mana 320 Over, Max Dam 200 Over といったバケモノWarriorが完成し、一人でHell/Hellを潜っていて「全然危ない場面がない」といった具合になる。シューティングゲームに例えるなら、「20000発まで耐えるバリアを張って、レーザービームを連射している」状態だ。この場合、「敵を倒すことが面白い」ということはもちろんあり得ず、Hell/Hellを潜ることは「経験値を稼ぎ、アイテムを探すための作業の繰り返し」ということを意味する。
次に対戦・格闘ゲームとしてのDiabloの楽しみ方とは、Time AttackとDuelだ。「死にたくても死にきれない」状態の最強装備で潜ることを「楽しみたい」と思った時、そこには「死ぬ回数が少なければよい」という項目はもはや存在せず、自動的にクリアタイムの競争となる。つまり、タイムアタック。そしてその最強キャラにとってはもはや「強いと思えるモンスター」というものは存在しない。最強の敵とは、自分の「潜り仲間」であるはずのヒーロー達なのだ。その仲間と戦うことを楽しむとき、それは格闘ゲームとなり、Duelと呼ばれる。
最後に、アクションゲームとしてのDiabloの楽しみ方とは、Low AC潜りであると断言することは可能だろう。High AC潜りにおいて、物理攻撃を行うモンスターというものは、「いてもいなくても同じ」であることにお気づきだろうか。どんなに囲まれようとも、それらがこちらにダメージを与えることもなく、行動を制限することもない。そもそもアクションゲームにおいて、「存在の意味がない敵キャラ」というものが存在するはずはなく、その意味において、全ての敵に存在理由を与えるためには、つまり完全なアクションゲームとしてDiabloを楽しむためには、ACを下げて敵の物理攻撃が自分にヒットする条件を整える必要がある。
さて、このweb siteは「アクションゲームとしてのDiabloを楽しむ方法」つまり「Low AC潜り」というものを解説するものだが、ここで明確に述べておかねばならないのは、これから私が説明するLow AC潜りのスタイルとは、「極度に分化した、Low AC Diverのみのパーティにおいてのみ機能するLow AC潜りのスタイル」ではなく、High ACプレイヤーとも共存し、パブリックチャンネルでの公開募集において十全に機能するLow AC潜りのスタイルであるということだろう。つまりHigh ACプレイヤーがそのACによって突き進もうとも、それに遅れをとることもなく、Low AC独特の判断とテクニックによって、ACが低くて物理攻撃を受けるという「ハンディキャップ」を補い、十分にパーティの一員として活躍することを目指すという姿勢を私は重要視している。
「極度に分化した、Low AC Diver仲間でしか機能しないLow AC潜り」と定義し、私がこのサイトで忌避しているものとは、たとえば極端にLifeを低めたLow Life潜りや、何も装備しない潜り、そしてTo Hitの足らない武器を持ってモンスターを100%Stone Curseで固める潜り方などだ。それらについていちいち説明するのは読者諸氏にとっても労力の無駄だから、ここでは詳しくは言及しない。一度でもいいからそのような潜り方をやってみたり、見てみたりすればそれが「アクションゲーム」ではないということはすぐに理解できるだろう。
アクションゲームとして楽しめるために最も重要なことは、モンスターと自分の強さのバランスだ。Diabloにおいては、「スローテンポのHell/Hell攻略ではなく、あらゆる敵・地形・状況に対処でき、かつ敵の与えるダメージが過少でも過大でもない」ということが、そのバランスを生み出すことは、長年の議論で明らかになっている。したがって、これから私が説明することは、上の条件に則ったものであり、具体的には「必要とされるTo Hitを満たす」「ResistはできるだけMaxにする」「故意にLifeを下げない」などの条件を外れることはない。
Low AC潜りというものはすでに日本のDiabloプレイヤーには知れ渡っているが、それは多くの場合、Shield Blockありのことだろう。このサイトでは、Shield BlockありのいわゆるLow AC潜りについても解説するが、Shield Blockなし、巷ではLow AC 2 Handed潜り(LA2H潜り)と呼ばれているものも解説する。それは決して不可能なものではなく、きちんとHigh AC Diverとのスピーディな潜りでも十分に機能するものであるし、Shield BlockありのLow AC潜りよりも、必要とされる判断や技術が繊細に、そして難易度が高いものへと変わるだけであることを説明している。なお、このサイトは私ことkegani一人の手によって作り上げられたものではない。Low AC概論を執筆したのは、Tai-Blackfire氏であり、LA2H-Wマニュアルを執筆したのはRight氏であり、Low AC Bow-R概論を執筆したのはMira氏だ。これらは彼らのサイトで公開されているのだが、読者諸氏の利便性を配慮して直接リンクさせていただき、このサイトをLow AC潜りの総合サイトとして成立させることができた。他にも、潜りレポートの執筆者であるRacco氏には、プレイスタイルを公開していただいた。そしてこのサイトが生み出されるきっかけとなったUNIQN氏、UPI氏のサイトからは大いにその基礎知識や技術を拝借させていただいている。
表紙に戻るOct. 2000 kegani